日本国憲法公布74周年となる11月3日(火・祝)、都内の会場で「改憲実現オンライン集会2020」(主催:同実行委員会、後援:勝共UNITE、国際勝共連合)が開催され、ビデオ会議アプリを通じて約70名の若者たちが参加しました。
今年は新型コロナウィルスの影響により、開催中止も検討されましたが、「このような状況だからこそ、憲法改正について真剣に考え、訴えていかなければならない」と、会員を中心としたオンライン集会という形で開催される運びとなりました。
初めに、勝共UNITE 代表の長澤洋国さん(東京大学大学院修士1年)が挨拶し、「激動の年」となった今年を振り返りながら、「今回のコロナ禍の危機を通して、憲法に『緊急事態条項』を明記する必要性を痛感した」と述べました。
長澤代表は、安全保障の観点から憲法に自衛隊を明記することや、「家族条項」の必要性などにも言及し、「本日の集会を通して、国を想う心を燃やし、必ずや憲法改正を実現していきましょう」と訴えました。
続いて、現職の国会議員の先生が地元から参加され、長澤代表の挨拶を受け、「立派な問題提起と皆さんの意識の高まりにとても頼もしく、一人の日本人として誇らしく聞かせて頂いた」と感想を述べられました。
さらに、国会での議論の状況をはじめ、憲法第九条や有事の際の問題点などを指摘され、最後に次のように意気込みを語られました。
「(憲法改正を)『やるやる詐欺』とも揶揄されるが、皆さんとの機会に恵まれた者として、臨時国会、通常国会で皆さんの意見を反映させたい」。
今回の集会では、講師に在日ウクライナ人で若手政治評論家のナザレンコ・アンドリー氏(25)を迎え、「ウクライナ人から見た日本の安全保障と憲法改正」と題する約1時間の講演が行われました。
【ナザレンコ・アンドリー氏のプロフィール】
1995年、ウクライナ東部ハリコフ市生まれ。ハリコフ・ラヂオ・エンジニアリング高等専門学校で準学士学位取得。
2013年11月~14年2月、首都キエフとハリコフ市で、新欧米側学生集団による国民運動に参加。2014年3月~7月、家族とともにウクライナ軍をサポートするためのボランティア活動に参加。
2014年8月に来日。日本語学校を経て、現在、関東圏内の国際貿易会社に勤務。
ウクライナ語、ロシア語のほか、英語と日本語も堪能で、昨年5月3日、永田町の砂防会館で開催された「公開憲法フォーラム」で留学生としてスピーチし、大きな注目を集める(当時の講演動画は、現在までに20万回以上視聴されている)。
『正論』にも寄稿しているほか、「言論テレビ」や「虎ノ門ニュース」などにも出演。
日本語の著書に昨年8月に出版された『自由を守る戦いー日本よ、ウクライナの轍を踏むな!』(明成社)がある。
ツイッター(@nippon_ukuraina)でも日々積極的な投稿を行っている(フォロワーは71,000人以上)。
アンドリー氏は、度重なる侵略を受けてきたウクライナの概略史を解説した上で、国防に対して否定的な日本の著名人の発言(ツイート)を紹介。
「国民の生活と国防を分けて論じることはできない。国家があっての国民、国防があっての国家だ」と訴えながら、リベラルな人々が「護憲」を掲げることに対し、「日本国憲法も日本国が存在する限りしか有効性がない。目先の利益や利権しか追及せず、国家独立の重要性を忘れた民族は必ず痛い目に遭う」と警告しました。
さらに、「戦争は恐ろしいものだが、独立を失うことはその何倍も恐ろしい」と、ロシア植民地時代のウクライナの惨状を紹介したほか、「隣国にとって脅威にならなければ攻められないというのは、現実と無縁な考え方だ」と訴えました。
ウクライナは2014年2月、ロシアによって突如クリミア半島を侵略され、ウクライナ東部では現在も戦闘が続き、死傷者が出ています。
「21世紀の現在でも戦争は起きている」というアンドリー氏の証言には非常に説得力があり、アンドリー氏の次のような発言も肝に銘じなければならないでしょう。
「一般国民に見えなくても、国益を守るための戦いは常に起きているのだ。誰かが一般市民の代わりに戦ってくれているからこそ、私たちの平穏な日常は守られていると知るべきだ」。
アンドリー氏は「平和を守るためには第一に憲法改正だ」とし、その意義を三つ挙げました。
一つ目として、「平和を守るのは抑止力が必要だということ。数千万の日本人が(国民投票で)投票所に行き、この国を守る、『押し付け憲法』は否定する、自衛隊を擁護するという姿勢を見せることこそが最大の抑止力となる」と。
二つ目は、「現行憲法は外国(GHQ)に押し付けられたもの」であるため、日本人自らが自主的に憲法を制定(改正)するという強い姿勢を示し、「日本は独立を失っても、一人ひとり立ち上がって日本を取り戻すのだという強い姿勢を示すべきだ」ということ。
三つ目は、「自衛隊の位置を確立すること」として、「たとえどのような政権になっても、自衛隊の位置が揺るぎないものになるようにすべきだ」と訴えました。
さらにアンドリー氏は参加者に対し、「多くの日本人は戦争と聞くと、第二次世界大戦を思い出すだろう。しかし、現代は『ハイブリッド戦争』の時代である」と、「情報戦から始まる」という「ハイブリッド戦争」について解説しました。
また、「日本は『スパイ防止法』もなく、自衛隊も(憲法第九条に)束縛されているので、何をしても仕返しされてないと思われている」という国防上の問題点を指摘。
日米同盟についても、「米兵も日本のために死にたいという人はいない。彼らも自分の家族と国を守りたい。したがって米軍は、日本人と一緒に戦うことはあっても、日本人のためには戦わない。だからこそ他力本願ではなく、日本の軍備強化と憲法改正が必要だ。日本は日本人が守らないといけない」と強く訴えました。
ウクライナは2014年を機に「非共産化政策」が実施され、共産党が解散させられ、違法になったことや、刑法が改正され、「ナチズムと共産主義は同じような反人民的なイデオロギーであると定め、共産主義プロパガンダを違法にした」ことなどを紹介。
「ウクライナは非共産化と英霊の名誉回復ができたのに日本はできない。なぜか?」と問い掛け、「(日本には)経済力などがあっても一つ足りないものがある。それは覚悟だ。しっかりと覚悟を決めて、どんなに批判されようが、祖先が一つしかない命を捧げてくれたのだから、命を懸けてその人たちの名誉のために戦うべきだ」と、日本国民にエールを送りました。
アンドリー氏は最後に、次のように講演を締めくくりました。
「ウクライナと日本の歴史的背景、国内事情は様々に異なる。しかし同じ轍(てつ)を踏んだのは、ウクライナだけではない。カルタゴ、チベット、ウイグルも同じ、……国防の重要性を見失い、この世に存在しない(日本国憲法の前文にあるように)『諸国民の公正と信義』を信頼した国は滅んでしまう。これは不変の真理である。
日本は総理大臣が変わった。安倍前総理は任期中に日本国の存立に必要不可欠な憲法改正を実現することができなかった。しかし、そのための基盤は作られ、多くの日本人がその必要性を痛感し、目覚めたと私は信じている。だからこそ、決してあきらめることなく、安倍前総理の使命を受け継ぎ、残された課題をしっかり果たすことで前総理に感謝の意を示し、憲法改正を成し遂げることが必要だ。改憲の成功と日本の繁栄を心より祈っている」。
アンドリー氏の講演後、質疑応答の時間が持たれ、短い時間でしたが、3人の若者たちが講演に関連して積極的な質問を行いました。
最後に、本集会の実行委員長であり、国際勝共連合事務総長の松本康実行委員長が、閉会の辞を述べ、本集会の意義を総括し、閉会となりました。
参加者は、憲法改正の実現を誓い合い、国(日本)を想う心をさらに燃え上がらせていました。
本集会におけるアンドリー氏の講演動画はこちら。
日本とアジアの平和のために活動する若者グループ・勝共UNITE は、2016年1月に東京大学の4名の学生によって結成。日本の未来を憂う若者の立場から街頭演説を中心に活動を行い、これまでに国内約30か所で同様のグループが結成されてきました。
「日本の未来のために、若者が立ち上がり、改憲を実現しよう!」をテーマに、2017年以降、毎年11月3日に改憲イベントを実施しています。
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